どれくらい静か?

エゾモモンガのガイドは早朝か夕暮れ、巣穴の前で夜行性の彼等が戻ってくるor出てくるのを静かに待ちます。
ゲストがいる場合は、どれくらいの距離が最適かよくよく考えることにしています。あまり近過ぎても巣穴から出てくるのが遅くなると暗い写真になり、遠過ぎても求めていた可愛い姿を収めることができないかもしれません。

ちょうど良い塩梅は何度も巣穴に通うガイドだけしか分からないのです。

この写真とのモモンガの距離は2メートルくらいでした。
これだけモモンガに近づこうと思うと、徹底して気配を消す必要があります。何度も通ううちに枝に乗ることが分かっていたので、その1匹だけを狙いカメラをセットしました。レリーズを握った手をポケットで温めながら、一切身動きせず待ちます。足踏み、咳払い、衣擦れはもちろん唾を飲むのでさえ我慢します。

日没が近づき、寒さも増して足先がピリピリと痛くなる頃、巣穴から顔を覗かせるモモンガ。どれだけ気配を消しても、この瞬間の緊張感は変わらず・・・ハッと息を呑み、見つめ合うことに。巣穴からモモンガの身体が出るまではさらに我慢です。

枝に乗ったらそれからカメのようにゆっくりとポケットから手を抜き、カメラを操作します。
ううう〜と声が漏れそうになりながら緊張は続き、夢中になって撮影しているとモモンガが不意に枝を登り、突然の幕引き。
幸せな時間です。

最近ようやく、カメラや双眼鏡を使って自然と遊ぶことについて何となく理解してきたかもしれません。
良いガイドは欲に囚われず謙虚。黙っていても自然の面白さを伝えることができて、些細なことでも見方を変えると魅力が増すことを知っています。観察を通して今年も小さなヒントをたくさん拾うことが出来ました。

いつの時代も本物は伝わりづらく、ひっそりと存在しているものなのかもしれません。

頑張って気配を消して待っていると、静かだと思っていた森が実は騒がしいことに気が付きます。
自分がそわそわしていると、それに気が付かないので、静かだな〜と思っているうちは、まだまだと反省。

この冬は始まったばかりですが、チームモモンガも本格稼働。
そしてシーズン初めから驚くべきことばかりで、巡り合わせというか奇跡というか・・・。
2024年のガイドは残りわずか。クリスマスが終われば、ちょっと休憩。プライベートな撮影もリラックスして楽しみたいと思います。

来年のガイド、1月〜3月までの期間はまだ空きがありますので、厳冬期のエゾモモンガにぜひ会いに来てください。

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