エゾモモンガより少し体力が必要ですが、この冬の日中のメニューで特に面白いのがエゾユキウサギのガイドです。
食痕やフンを探すのはモモンガと同じで、主に足跡がヒントになります。足跡を追って歩くのですが、これが簡単なようで難しいのです。
あっちから、こう来てるから・・・と追いかけて行っても気がつくと、スタート地点に戻されているといったことが頻繁に起きます。複雑に交差する足跡は時系列が分かりづらいうえに、「止め足」という技を使うので、ウサギにつままれるような結果に。野生動物の知恵と生存能力は凄まじいものです。
エゾユキウサギのガイドは森の中ではやりません。重たいカメラを持ったゲストの体力を考えて、なるべく簡単にアクセスできる場所を探しています。雪原となっている畑で追うのが基本。できれば200メートル程度の歩行で見つけたいのですが・・・日頃の行い次第でしょうか。
農家さんへの挨拶まわりと了承を得るのもリサーチのうち、みなさん快く許可をくださり有り難いことです。
写真の手前から奥へ歩いているのですが、のんびり歩いているうちはこういう足跡が残ります。
歩幅は50センチ程度。足跡の輪郭がどの程度残っているかで時間の経過を知ることができ、この写真のように爪痕があるものは1時間以内と考えられます。風が当たる場所か、そうでないかでかなり差は出ますが(風速2でも平らな雪原なら10分で足跡は消えます)重要なヒントです。
走り出すと、こういう足跡になります。歩幅は1メートル以上に。
危険が迫るとまさに”脱兎のごとく”ものすごい速度で雪煙を上げて走り出すのですが、あまりの必死さに笑ってしまうほど・・・。かなり見ものです。果たして国内最速と言われるスピードをカメラで捉えられるか、今のところ成功していません。
ユキウサギは主に夜間に行動するため日中は木の根本や茂みでじっとして過ごしています。
足跡は夜間から早朝に残され、天候によって変化します。冬は日中にも行動することがあるようなので昼間に新しい足跡を見つけることができれば、それだけで大きなチャンスです。行動範囲はそれほど広くなく、同じ場所でナワバリのように動くので前に見た場所で再会することも頻繁にあります。
気配が濃い痕跡の追跡を始めて、ユキウサギが身を隠せそうな場所に近づいたら、そこからはとにかくゆっくり動きます。
写真のように身体のほとんどが見えておらず、しかもまったく動かないので瞳と耳の先の黒色だけが、手がかりです。近づき過ぎてしまい走らせても、走ったことに気がつけば再度追跡ができますが音を立てないので、気が付かないことも。
怪しいのに居ませんでしたね〜と車に戻る途中に、見たことない新しい足跡が出来ていることが何度もありました。そこから追跡して見つけることもあるので、油断できません。
痕跡→追跡→発見→撮影
特に発見が難しいと感じます。いくら目を凝らしても真っ白な雪にうずくまる真っ白なユキウサギは目が慣れていないと見つけられません。
ユキウサギの白はハクガンに似たピュアホワイト。
ふわっふわの毛並みとダッシュの迫力、撮影は追跡の困難に加え、見つけた後もあまりに白いためピントが難しく面白い。雪煙を上げて爆走するユキウサギを撮るのは飛びモモ(滑空するモモンガ)の撮影のような難しさがあるかもしれません。
早朝と夕暮れはモモンガ、日中はウサギ追いとシマエナガなどの小鳥の撮影。
南富良野の12月のガイドはこんな感じのメニューになります。日によってはクマゲラやフクロウを見に行くことも。
少しずつ、雪が降っています。
気温が低いのでドライな粉雪。身体にもカメラにも積もりますが、あまり濡れることはありません。
顔に当たるとムズムズ痒いのですが・・・雪を乗せたモモンガやユキウサギは可愛いものです。
ユキウサギのガイドはまだまだ始めたばかりですが、とにかく楽しいのがユキウサギ。鉄砲の代わりにカメラを持つだけで、ほとんど狩猟です。もっと精度を上げられる気がします。モモンガより歩きますが、悪くないですヨ。