GW後半戦、澄み渡る青空と半袖で歩く観光客を見て、働いている場合じゃない!と真剣に思う。
夜の通勤路をオンボロのニッサンバネットで走ると、ヘッドライトに寄せられフロントガラスにバタバタと虫がぶつかってきた。またこの時期がやってきた!本格的な水生昆虫のハッチと同時に川のなかでは魚たちが活気づいているはず。かなやま湖はどうだろう?あそこの水温は?産卵に参加しない居残り組のイトウはどこを泳いでいる?通勤のたびにそんなことを考えるから、そわそわするのも無理もない。
この春から導入したリサーチ用のゴムボート。軽量で機動力もあり、本流のドリフトボートとしても使用。一人での調査ならこれで十分。この日は朝イチの2時間だけの調査で、積み込んだロッドを振ることなく各インレットの状況確認のみ。雨も降り雰囲気ばつぐんのインレットは時折ボイルが起こり、ワカサギの岸寄りを教えてくれる。水温は9.4℃。ボートに立ち上がれば岸際のイトウを見つけることが出来るかもしれない。
ダムの貯水率は70%程度で、これから更に水位が上がった場合のためにブッシュの位置を頭に入れてワカサギとイトウの付き場を予想する。場所によっては岸際に細かい流木が多くスタックしているので、フライはウィードガードを付けたほうが良さそうか?
それにしてもボートからだと動物たちに警戒されずに済むためじっくり観察できる機会が多い。トド松のてっぺんにダムで越冬するオジロワシの幼鳥が留まったので、風で流されながらも双眼鏡でしばらく見惚れていた。
それから数日後。前回のリサーチで得た情報とボートの運搬方法の改善やエレキマウントの改良、巻き貯めた数パターンのゾンカーを積み込み再度ボートを出した。リーダーは9ftだと長すぎたのでヒトヒロほどをカット。丁寧に岸際を狙い斜めにキャストしイトウを探すこと数時間。
桜の花びらとほんのりピンクなイトウ。
がぼん!とフライを引ったくられ、ぐんぐん底に潜るパワフルなイトウはワカサギをしっかり食べていた様子。サイズこそ60ちょっとだけど、思い描いていた釣り方で心が震える出会いだった。
あまりに嬉しくてさっそくガイドの大先輩に報告。
人との出会い、魚との出会い、野生動物との出会い、本当にありがたいと思う。自分がどれだけ恵まれているのか常に忘れちゃいけない、と気を引き締める。そして家族のおかげで今があることも。
次の課題とデータの蓄積、かなやま湖のイトウフィッシングはもっと良くなる。