雨鱒を巡る旅

雪解けの増水が引き始める春から、無数の群れとなり命を繋ぐため流れに逆らい続けたアメマスの旅が間も無く終わります。

あれほどパワフルで筋肉質だった魚体ですが、産卵を終えて、すっかり姿が変わり、大きな頭に不釣り合いなほど細くなった体と尾鰭でお腹もペコっと凹んでいる様子。

アメマスたちが帰ってきました。

春から秋までフライフィッシングを通してアメマスの生態を学び、釣りができないほど上流まで登ってしまった後は、地元の研究者の方にご協力いただき産卵の観察を行いました。オショロコマを釣るような大岩だらけで落差の大きい山岳渓流に50センチ〜60センチのアメマスがいる産卵環境にはイトウに比べると小さく控えめな産卵床が。

岩盤のプールにはペアリングして静かに泳ぐ姿があり、「ああ、ここにいたか」と夏に見送った後ろ姿に追いついた不思議な感動を覚えました。

当たり前に釣れますが、この環境は当たり前じゃありません。
夏の草が枯れて河岸も見通しがよくなるこの時期、そんなに簡単に釣れるわけでもないのですが、とても静かで好きです。
フィールドに助けてもらい、優しいゲストに助けてもらい、いろんな魚と動物と草花に癒されたシーズンに想いを馳せて、小さなライズを探すアメマス釣り。

うまくいかなかったガイドのことや、フィールドのこと、地域のこと、情報発信の葛藤や、家族のこと、将来のこと。少し考えてしまうのは、それもきっと秋だから。
お客さんにも相談に乗ってもらい「僕のガイドどうでした?」と直球の質問。いろんなアドバイスを吸収して頑張りすぎず、等身大で。

ほんと、背伸びしても良いことないです。
安全で、安心。そしてワクワクする釣りとドラマと発見。それを共有できるように環境の保全と地域への貢献。

環境に関しては、これは絶対にやっちゃいけないという線引きを自分の中に持つこと。

もうすぐライズの釣りが終わり、また悩みながらイトウと向き合う日々。寒い寒いボートの釣り。あ、二馬力を修理しないと。

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