高いところのハンノキの雄花を取り、滑空してお気に入りの枝に着席。頭がうっすら茶色の太っちょは、いつもここで食事。
今日は穏やかな一日。久しぶりにモモンガたちに会いにいく。どの辺りでスタンバイしようか…日没は16:50頃、三脚を右手で担ぎ、森を歩きながら考える。目的の場所まで数十メートルだが、3300円の中古のマンフロットは必要以上に重い。
近くまで来ると息を殺し、なるべく音を立てないよう静かに行動する。服の擦れる音が普段より大きく聞こえ、身体が強張ってしまう。飛んでいる姿の撮影を今日は諦め、巣穴から出る瞬間を狙った。
待つこと15分。
1番手が恐る恐る顔を出した。巣穴の中に仲間の背中越しに外を伺う2番手3番手がいる様子が想像できる。
それにしてもなぜ、根本の巣穴を選んだのか。あたりの雪の上にはクロテンやキタキツネと思われる足跡が点々とついており、足跡はこの巣穴にも続いていた。獲物を探すハンターが巣穴の前で立ち止まっていたのだ。
エゾモモンガは敵を攻撃する手段を持たない。外敵が近づくとその場でジッと固まり脅威が去るのを待つか、見つかった場合は逃走する。家族でなくても巣穴に入るものを拒むことはせず、一緒に冬を乗り切る。
平和的なその生き方はどこか素朴で心に訴えてくるものがある。
エゾモモンガはアイヌ語で「アッカムイ」
”子守の神様”という意味らしい。