普段は暗くなってから活動を始めるエゾモモンガですが、まれに日中に出てくることがあります。
外敵の多い針葉樹の森では何らかの理由で夜間に食事を取れなかったモモンガは、昼間の明るい時間帯に単独で巣穴から出て、サッとトイレを済ませると夢中になって食事を始め、人が動いてもほとんどお構いなし。可能な限りエネルギーを取るぞという気合十分で食べまくり、長いときで2時間近く外で活動しています。
チームモモンガのムッチさんと二人で山間部のモモンガリサーチをしているとき、奇跡的にそんなモモンガと出会うことができました。それほど気温も低くなく、晴れ間が出て穏やかな1日。どちらかと言うとのんびりと、痕跡を頼りに雪の締まった森を散歩していたので、まさかの出会いに驚き。
見つけておいた巣穴付近で日中のモモンガを見ることはあっても、巣穴を特定する前に歩いていてバッタリと野良モモンガに出会う奇跡。モモンガを探したことがある人なら滅多に無いことが分かるはずです…。
ふたりで引き寄せた、一匹の昼モモ。きっと呼ばれていたのでしょう。
3メートルの距離まで近づいても一心不乱に若いトドマツの葉を食べ続けたエゾモモンガ。
繁殖期を迎える2月下旬から3月までにもパートナー選びのため日中に大騒ぎすることがありますが、今回出会ったのはそれとは違い、おそらく夜中に食事ができなかったモモンガだと思います。
トドマツを1時間ほど、さらにそのあと高い位置のハンノキの雄花を40分たっぷり食べて、ハルニレの巣穴へ戻りました。
昼モモの撮影もできて、ついでに新規の巣穴も確保できたとホクホクしていましたが、夕暮れは空振り。巣穴の回りには痕跡がほぼ無く、あれだけ食べたので出ないだろうなぁとあまり期待はしていなかったので問題なし。
この表情、やっぱり可愛いですね!これが見られるなら、昼モモ狙いで巣穴の前で待つ価値は大いにあります。なのでガイドのときもチャンスがあるなら2、3時間待ってみることも。
十分撮影して巣穴にいつ戻るのかな〜と待っていると、遥か上空の青空を1羽のオオワシが横切っていき、溶けた雪がバサッと落ちてから、シーンと静寂。気持ちのよい風と日差し。ファインダーばかり覗いていると気が付かなかったことが見え、聴こえてきます。モモンガを取り巻く自然、そこに身を置き感じることも大好きです。
また少し雪が降って冬が戻りました。暖かいと寒いを繰り返し、三寒四温で季節は進みます。
次に昼モモに会えるのはいつでしょう?天気予報の気温を見ているとそれほど遠い日でもないような気がします。