冬の北海道、エゾモモンガや野鳥の観察ガイドと撮影サポート
ガイド内容と対象について
森で囲まれた南富良野では冬の間でも沢山の野生動物に出会うことができます。エゾモモンガを中心にシマエナガ、クマゲラ、エゾフクロウなど完全プライベートでプランを組み立てご案内。
エゾモモンガに関してはガイドが森を歩き一つずつ地道に見つけてきた巣穴です。他のカメラマンは居ないので、集中して観察や撮影に取り組めます。
冬の北海道の雪道が心配でもご安心ください、最寄りの駅や宿泊所までの送迎も行っています。ゲストの体力や好みに合わせて、撮影&観察場所はなるべくアクセスし易い場所を確保しています。まずは一度ご相談ください。
山間地域ならではの深い雪と原始の森、そこで暮らす野生動物たち。
やや標高の高い地形に位置し、厳冬期には-20℃まで気温が低下する日もある南富良野。
天然林が多くを占める亜寒帯の針広混交林で暮らすエゾモモンガ、寒さが厳しくなる11月下旬頃からひとつの巣穴で集団生活を始めます。
山深いからこそ、イイズナやキタキツネ、クロテン、フクロウなどモモンガにとって天敵と言える生き物も多く生息しており、山間部のモモンガたちの暮らしは平野部のモモンガと少し異なるようです。あまり人馴れすることも無く、警戒心が高いのもそれだけ野生が強いということなのでしょう。
人にとっても自然の厳しさは同じで、寒い・暗い・ぼた雪など観察を阻むような条件の中、チャレンジすることになります。人を寄せ付けない厳粛な環境での撮影は1度で納得のいく写真を撮るのは難しいでしょう。
それでも私が何度も巣穴に通うのには理由があります。
繰り返しモモンガに会いに行くことで感じること、人工物が一切視界に入らない環境で静かに彼らを待つ時間、季節の移ろい。
吹雪でも、放射冷却でキーンと冷える朝でも、どんな状況でも動物たちの息遣いを感じたくて観察に向かうのです。そしてその一瞬を切り取る
ことが出来るカメラの面白さ。雪の結晶を顔に乗せて鼻をひくひくさせている姿は降雪の少ないエリアでは中々撮ることもできません。
そしてなにより、少しでもゲストの皆さまにその素晴らしさを知ってもらいたくて歩き回っています。
難しくて面白い撮影、可愛くて堪らないエゾモモンガの生態。
エゾモモンガはネズミ目リス科モモンガ属、北海道の固有種。
一年中、樹上で暮らし地面に降りることはまずありません。前肢後肢には飛膜があり、拡げて滑空することで木の間を移動しています。季節により食べるものが変わり、冬季はハンノキ、シラカバ、カラマツ、ハルニレなど花穂や冬芽。トドマツの葉も食べています。
雪のない時期は継続して観察をしていないので、実際に見たことはありませんが、夏期は昆虫を食べることもあるようです。餌に含まれる水分料の違いからか、冬の糞はカプセル状で春から夏は形が崩れていることが多い印象。
外敵に襲われてしまうので、水場に降りることもなく給水も樹上で行います。雪解け水や樹皮に生えた苔や地衣類に付いた水滴を飲んでいる様子を実際に見たことがあります。
彼らは夜行性のため、日中は巣穴で眠っています。日没前後20分ごろに巣穴から出て、まずうんちとオシッコをすることが多く(これがモモンガを探すヒントにもなります。しかし山間地域では毎日のように雪が降るので、隠れてしまうこともしばしば。)その間の数分がシャッターチャンス。それから近くの枝に乗ってくれたり、少しだけ滑空して近場の餌を摘んだり、一気に幹を駆け登り大滑空を見せたり、これはモモンガたちの性格や人が与えるプレッシャー次第で変わります。
それぞれの巣穴の個体の特徴はガイドから伝えますが、予想外の動きをすることもあるので、どういう状況でも対応できるようにイメージすることが大事です。いずれにせよ1日で朝と夕暮れの2回、長くて15分程度の観察・撮影時間なので数日かけてじっくり挑戦することをオススメします。
ガイドが使用する撮影機材は軽量特化のサポート仕様。
リサーチでも、ガイドでも、なるべく身軽でいたいのでオリンパスのミラーレス一眼を使用しています。マイクロフォーサーズ規格なら600mmの超望遠レンズでもカメラ本体と合わせて2kg前後、巣穴の前でモモンガを待つ間もこの程度の重量なら気になりません。滑空する姿や広角で撮りたいとき、暗くなることが分かっているときのために「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」と1.4倍のテレコンを状況に合わせて使います。
撮影時間は日の出、日没前後なので薄暗いことが殆どです、F2.8からF4.0あたりの明るいレンズをオススメします。最新の高感度なカメラであればもう少し暗いレンズでもカメラの性能でカバーできるかもしれません。
もちろんフルサイズの一眼レフカメラの重装備で本気で挑むのもアリです。ガイドのときは雪の中を歩き通すこともないので、撮影に集中できるよう全力でサポート致します。
モモンガの撮影は暗さ、冷えとの戦い。
シャッタースピードが遅くなりがちなのでブレを抑えるため三脚は必須となるでしょう。ガタつかないもので、操作に慣れているもの、アルミは手が冷えるのでカーボンの軽量モデルが理想です。シャッターリモコンがあるとチャンスを逃さずポケットで手を温めることができるので、これもオススメです。待ち時間の間にバッテリー切れ、いよいよモモンガが出てきたのに撮影できないということが無いように予備のバッテリーも用意しましょう。低温下のため通常より消耗が速くなります。
巣穴で待つ時間は長いときは40分程度、身体はもちろん手先足先、頭までしっかり防寒対策を。
カメラの操作性、動きやすさなど考慮してご自身のしっくりくる装備を探すと良いかと思います。私は防風性のある中厚手のグローブ、取り外し可能なインナー付きで雪の入りづらい膝下までのウィンターブーツを使用しています。着るものや北海道の寒さについてなど不安があれば、一度ご相談ください。
明るいうちに出会いたければ…徹底して気配を消しましょう。
野生動物の観察で最も注意するべきこと。
平野部の防風林や市街地の公園、スキー場の樹林帯、身近なところにも生息するエゾモモンガですが、簡単には人馴れしないのが野生動物。撮影や観察の際には可能な限り生態への影響を最小限に留めるよう努めています。音や匂い、光りに敏感なので静かに待ちましょう。
スマホの着信音を消して、フラッシュ、AF補助光はOFFに。カメラの設定は車中で済ませ、巣穴から離れたところで三脚にカメラをセットしてから近づきます。立ち位置と構図が決まれば、あとはなるべく動かずお喋りはグッとこらえて、待つのみです。
衣服の擦れ、雪を踏む音、三脚やカメラの金属音、香水やお化粧、整髪料や飴・ガムの匂いまで、モモンガたちにも届いてしまいます。巣穴を変えてしまったり、真っ暗になるまで怖がって出てこなくなったりとお互いにとって悪い影響しかないので、頑張って抑えましょう。
まずは双眼鏡で観察、カメラが無くても楽しめます。
自然観察の醍醐味は撮影だけではありません。
撮影が目的でもそうでなくても、まずは自分の目で焼き付けてみましょう。双眼鏡を覗くとカメラのファインダーとは違う鮮明さに驚くはずです。撮影に関する難しいことは置いておけば、観察だけに集中すれば彼らの細かい動きやヒゲが揺れる様子を最高の思い出として持ち帰ることができます。
私自身もカメラを準備することなく双眼鏡だけで静かにモモンガを見守ることがあります。記録には残りませんが、不思議と彼らの可愛らしい仕草やその時の空気感は忘れないものです。
「写真には興味ないけど、北海道の自然を感じながら、ちょっとモモンガに会ってみたい。」そんな方も大歓迎です、一緒に森を歩いていろんな生き物を探しましょう。双眼鏡やブーツのレンタルもご用意しています。
モモンガだけじゃない、偶然の出会いもあるかもしれません。
自然豊かな北海道南富良野町、ここは野鳥の宝庫です。
モモンガの痕跡を探して森を歩いていると、ここで紹介しきれないほどの野生動物に出会います。残念ながら、うまく撮れることの方が少なく、私もまだまだ技術が足りません。それをカバーするため観察を繰り返し、再現性を見つける日々。とは言え何事も絶対はなく、ここに行けば見られるかも?と運次第な部分もあり…自然相手なので、そういうこともありますね。今後も良い写真が撮れたら、こちらにも随時アップしていきます。
モモンガと合わせて、こういう動物たちに会えるかもしれないという、参考にしていただければと思います。