体感温度-27°

外に出ると鼻毛がツンと凍る寒さ。

列島を襲った低気圧は強い風を伴い南富良野も朝から吹雪となった。薄暗い森に入ると木が揺れてぎしぎしと不安を誘う音を鳴らしている。鳥たちも今日はおとなしく、一向に声が聞こえてこない。

こういう日にモモンガたちがどういう動きをするのか知りたかったので、いつものポイントに向かう。

巣穴にピントを合わせて数枚撮るとすぐにバッテリーが赤く点滅しだして、予備を持ってこなかったことに一人悪態をつく。

急遽バッテリーを抜き手袋と手の間にはさみ、そのままポケットに入れて握って待つことにした。出てきてからでも何匹目かは巣穴の入口で外をチェックするだろう。それに間に合えば良い。

日が沈むにつれ、辺りは水墨画のように色を欠いていった。

16:30を回っても出る気配がなく、足先が冷えてくる。前回来た時に近づきすぎて引越したかと不安になってきた。

ただジッと待つこの時間は嫌いではない。身体に集中して動きを止め、呼吸を意識して、かと思うと意識しなくなって森に溶け込むような気持ちになる。段々、出ても出なくてもいいか…とさえ考える。

バババッと三匹が何かに慌てるように駆け登っていった。嵐の不穏な気配を感じているのだろう。普段と違い巣穴の外を確認することもなく、なるべく早く済ませたいと思わせる動きだった。バッテリーを付け、ファインダーを覗き次を待った。

思った通り4匹目も勢いよく出てきたが、何かが気になったのか数秒間だけ止まってくれた。シャッタースピードを下げ、なんとか2枚。3枚めを撮ろうとAFを押したがピントがズレていく、電源が落ちてしまったようだ。

ふうっ上を見上げると、天高くから滑空するモモンガの小さなシルエットが滑るように遠ざかっていくところだった。

しばらく次を待ったが、ますます強くなる風と寒さに耐えられず退散。帰り道、数十分前の自分の足跡は綺麗に消えていた。

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