クルージング

しばらく狙っているけど、なかなか釣ることが出来ない魚がいる。

サイズは恐らく50センチちょっとでとてつもなく大きいわけではない。だけどフラットなプールでゆっくりとクルージングするこういう虹鱒は、サイズに関わらず苦労して釣る価値があると思っている。もちろんドライフライで狙いたい。

最初に見つけたのは、ポツーンという波紋を残す大人なライズ。しばらく観察を続け、右回りのクルージングコースとライズの間隔は把握したものの解るのはそれだけだった。一体なにを投げれば良いんだろう??その虹鱒は適度に活発な捕食を行い、かつ的を絞り込んでいるように見えるが、夏はありとあらゆる虫が川を流れており双眼鏡を使っても捕食物は目視できない。

初日はフライの選択でこじらせ、数日後は下手なキャストで魚をスプークさせてしまう。水はジンクリアで夏の日差しを浴びて魚の影が川底に写るほどだった。プールに魚がいない日もあり、ライズしない日もあり、観察だけの日があり、時間だけが過ぎていつの間にか季節は秋・・・かと思いきや夏の延長戦でド真夏日。前日の夕立でどしゃ降りだったため、増水なしで濁りありという珍しい状況。

いつものように偏光グラスで魚影を確認して、双眼鏡で眺める。背中の斑点がくっきりと目立つ、いつもの雄の虹鱒がいた。水温23℃で暑いのか、なんとなく気だるそうにゆらゆら回遊している。時折水中でゆっくり大きく口を開くあくびをする。白い口中が見えるので、あくびしたのが良く解る。ふわ〜っと浮いてきて、水面の虫を見てる見てる!・・・喰わない!と、こういう姿を見ているだけで楽しく、ある程度満足する。

近づいて水辺に立つと反射して魚影は見えなくなった。波紋を残す静かなライズをしているので小さなフライを結ぶ。5Xを20ft程度のロングティペット。波紋を頼りに先行してフライを置き、水面が揺れるのを待つ。#14の黒のマシュマロフライから茶系の#16パラシュートに変更して、数回のキャスト。静かにフライが吸い込まれたので一息置いてフッキング。

クルージングするこいつを釣るのに一ヶ月以上掛かったが、それだけ楽しめたということ。それにしても、魚を探して観察して釣る、ただこれだけのことなのに何故こんなに楽しいんだろう!

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です