AM5:20 なんとなく生ぬるい風が吹く朝。
数日前に見つけた痕跡を辿って、頭上にモモンガのなる木がないか探しながら薄暗い森を歩く。見上げるとまだ陽は遠く、ぼんやりとした曇り空に樹木の枝が黒いシルエットで浮かんでいた。足元はややパックされたモナカ雪、時折風が吹いてちょっと不気味だった。
季節が前倒しになり、道内のいろいろな場所で目覚めたらしいヒグマの噂を思い出す。早朝なのに気温は3℃もあり、そりゃあ寝てる場合じゃないとは思う。ヒトも動物も暖かければ出歩きたくなるもんだ。
恐れ多い山の神「キンカムイ」
そんなことを考えてると、20mくらい先で何かが動いた。すーっと横に移動して見えなくなる…まったく上下しない気味の悪い動き。数分硬直して気を取り直して追いかけてみたけど、何かがいた場所には足跡もなかった。熊の足跡があれば大発見だったのに、あれは一体何だったんだろう。
その後1時間ほど散歩するも、新しい痕跡はなくエゾモモンガは見付からなかった。よく見るとここら一帯のハンノキの枝の花穂はわずかに残っているくらいで、新芽はまだ出ていない。真冬をここで乗り越えて今はもうすでに移動してしまったのかもしれない。
この日出会えたのはエゾリスだけ。
帰りに他より雄花の残ったハンノキを見つけ、若干の食痕。別日にチェックしよう。