ハルゼミかマルハナか。

自分の釣りになんだか大きな壁のようなものを感じていた、ここ数年。この川もいない、このポイントも駄目、そうやってフィールドのせいにしてきっと見過ごしてきたであろう巨大な鱒たち。釣れない原因はなんだろうと悩んできたが、ようやく答えを見つけた。

エゾモモンガの探索から始まりイトウの探索へ、自然観察のチカラはそのままドライフライのシーズンにも当てはめられ・・・自然の中に落ちているヒントを集め、考え、手持ちのフライをふむふむと唸りながら精査して、ラインのチェックと結び目を確認。釣れない要素をひとつずつ丁寧に省いていく。”ささやかだけど大切なこと”を今までどれだけサボっていたか再認識することになった出来事があった。

カメラには写っていないけど、中央の茶色い石のそばに50オーバーな魚影。しきりにナナメに移動しては定位置へ戻るというのを繰り返していた。ここで30分ほど観察を続けるもライズはせず、おまけに偏光を付けていても光の反射でどうも見づらい。川へ降りて水温を測ると10.6℃とやや低め。コカゲロウくらい飛んでいないかと探すが見当たらず。

川の石をひっくり返してみたり、座って水面を眺めてみたり、1時間くらい待ったところでやっと決心がつきロッドを継いだ。

さて、一度もライズをしていないの魚が果たしてドライに反応するだろうか・・・。それに水中で何かをついばむようなあの動き。

ドライドロッパーも考えたが、5Xのティペットを新しく継ぎ足し、ふたつのニンフを結ぶドロッパーシステムで狙うことに。

ほとんど四つん這いになり水面に寄ると、一度のフォルスキャストで良いところにフライが落ちナチュラルに流す。3投、ダメ押しで4投、息を止めていたことに気が付きゆっくりと後退してから大きく吐き出した。

それから10分、場を休ませてから煩いほど鳴いている蝉に切り替える。これで駄目ならイブニングまで待つ覚悟だった。

ティペットをさらに長くして12ft程度、オフショルダーで1投目。ふわっと落ちた蝉にもわんっと出たのが・・・

しゃくれた顎にせり出したオデコの見事な雄。

惜しくも60センチには届かなかったけど、サイトで釣った虹鱒としては自分のレコード。

取り込んですぐ、フックが折れた。

まずこの魚を見つけられたこと、そして答えにたどり着けたこと。フライフィッシングは観察がすべて。

楽しむこと、寄り添うことを忘れずに。さぁ釣りに行きましょう。

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