真夏のナイトラン②

PM5:30。朝見た川に戻ってきたが水量がまだ引かず、少し竿を出してみたがここで終わるのは勿体無いと判断し即移動。最後のポイントへの移動中、車を走らせながら考えていた。

一度針に掛けてバラしてしまった魚が次に釣れるのはいつだろう?

フッキングが甘かったせいかロッドが曲がっていた時間は僅か数秒。それでも足元まで寄ってきていたのでヒトの存在もビシビシ感じたはず、普通なら今日一日は無理だろうと諦めるところ。しかし暗くなるまでの移動時間を考えるとこれから向かおうとするポイントに入っても劇的なドラマは起きない気がする・・・。

こういうときはゲストに決めてもらおうと思い、リベンジを提案すると快く100か0のチャレンジに乗ってくれた。

PM6:30。バラしてから3時間、薄暗い中ポイントに戻り様子を伺う。それから30分近くキャストもせず流れを見つめていたが小さなライズはあったものの、やっぱりあの魚は沈黙している。いよいよフライが見えなくなるというところで、意を決して投げることに。一度目の反省点を活かし立ち位置を修正。何も言わず後ろで見守っていた。

1投、2投・・・少しずつ位置を変えてフライを流していく。3、4、5を越えた辺りから諦めムードが漂う。

15投する頃には手元が見えないほど真っ暗になっていて、ついに魚は出てこなかった。

PM7:40。2m先のゲストの表情も伺えない。何も見えないのでスマートフォンのライトを付け足元を照らす。そこで始めて大量のハッチに気がついた。大きいのから小さいのまで暗くて何か分からないけどそこらじゅうに水生昆虫が漂っている。

そのうちライズの音が聞こえ始め、さっきまで数分置きだったライズが今は5秒間隔で魚の跳ねる音が聞こえる。気がつくと二人ともフライどころかラインさえ見えない暗闇にキャストしていた。

一投一尾。ほとんど投げる度に魚が釣れ、音と手の感覚だけで釣りを楽しんだ。針を外しても何の魚が釣れたかも分からないまま、「いま、かかった!」とか「これはウグイか?」とかそんなことを言いながらラスト一投が無限に続く。

そろそろ終わろうかという時、自分のフライになかなかのサイズの魚が出た。というのもこの段階ではなかなかのサイズな気がする、という程度。サクッと釣って上がろうと思っていた矢先、リールが激しく逆転しあっという間に魚がどこかに走っていく。慌ててゲストにランディングを頼むものの、目を凝らしてやっとティップが見える程度の暗闇。この時点でバラした魚だと確信していた。

それから200m、恐ろしく滑る底石の川を魚を追いかけて走った。ティップの角度から魚の位置を予想して先回りしたゲストに向かって、手元の感覚で魚が走ったのか止まったのかを叫んで伝える。魚との並走は30分。コケて水浸しになりながら、釣れるわけない!とお互いぎゃーぎゃー言いながら、何も見えない!と叫びながら、ナイスランディング。そして固い握手。

PM8:30。真夏のナイトランで、でっかい虹鱒。夏休みの想い出。

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